あずさジャーナル
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どうやって質問の準備をするか/議員を目指す人の参考になれば

2019.03.14

 

都市環境分科会での最後の質疑を終えたので、これまで自分がどのように質問の準備をしてきたかの記録をしておこうと思います。
幸いなことに、私のホームページはわりと色々な方が見て下さっていて、これから議員になるぞ!というかたも見て下さっているようなので、何か参考になればと思います。

分野によってやり方は色々あるのですが、都市計画関連を例にとって記録します。

①まず、質問の項目を決めるにあたっては、市民の方とじっくりお話をします。これが基本です。
地域のどんな問題で、いつからどのように困っておられるのか、これまでどのような要望を行政にしてきたか(していないか)、それに対して行政がどんな回答と対応をしているかを整理します。

②次に、お聞きした内容について自分自身がどう思ったかを整理します。これがなかなか難しくて、お聞きした通りに「なるほど」と思うこともあれば、腑に落ちないことがある場合もあります。大事なのは早合点せずに自分の意見をじっくり考えることです。
→このとき、実際の住民の方々のお話について、これはどういう問題なのかと文献にあたって考えてみることも大切だと思っています。頭でっかちになってはいけませんが、経験が知識と結びつくとき、言葉と論理という、言論の府では必須の武器が生まれると思うからです(未熟な私の「武器」は鍛練の足りない脆い鉄のようだったと思いますが…)。

③自分の立場が定まったら、行政と話をします。担当課の職員のかたにアポを取り、相談や要望を行います。住民のかたに同席してもらって三者で話をしたりすることも多いです。このとき、自分は住民のかたと行政との橋渡し役、交通整理の役目を果たしながら、通訳者のような仕事をします。市民の生の声を行政に届けることで問題点を認識してもらいやすくなります。

③’ 住民のかたの同席がない場合は、とにかく自分がその人(団体)になりかわったつもりで行政と話をします。単細胞で勝気な性格の私は頭に血が上りやすいので気をつけねばならないのですが、自分が当事者になった思いで話をしているとつい熱くなりすぎてしまうことがあり、思い返すと赤面の至り、という場面もあります。。でも、共感力と想像力をみがくことは議員にとっていちばん大切なことだと思っています。

③” 行政サイドと話をせず、いきなり一般質問などにもっていくこともたくさんあります。これは難しい問題ほどそうしていました。というのは、あまり事前に行政と話をしてしまうと、彼らの論理に自分の思考回路が寄ってしまうためです。相手は何と言ってもその分野の専門家です。法にも手続きにも精通していて、知識と経験が結びついています。そしてこちらは法も現場も知らない若造。
これは例えるなら熟練の刀鍛冶のできる人のところに研磨していない鋼を持っていってしまうようなもので、こちらはまだどんな形の武器にするのか決めていないのに「ほーら、刀になりましたよ」と返されてしまうようなイメージです。そして後からずっと切れ味の良い相手の刀でスパッと斬られてしまう感じ。「きれいに」まとめられてしまって、いつのまにか住民側の感覚から離れてしまうのでよくない、と思っていました(これには賛否あるかと思いますが)。

④さあ実際に質問を作るぞとなったら、過去の会議録でキーワード検索をして他の議員、先輩議員がどんな質問をしていてどんな議論になっていたかを調べます。これはかなり勉強になりますし、必ずやるべき作業です。市側がどんな答弁をしてきたかもわかるので、自分の質問に対してどんな反応が返ってくるのかもいくらか予想ができて、心の準備になります。

あとは市の研究部門が出している冊子や、民間の業界誌、専門のジャーナルなどにあたって、参考になる論文などがあればいくつか読んでおくことも役に立ちます。面白いのは、熱心な行政職員のかたが投稿しておられたり何かしら書いておられるのを発見することがたまにあり、「へーこんな考え方で制度を作っているんだ」とか「こんな調査をしていたんだ」とわかるので、裏側の苦労(!)に触れることができます。武器の形や使い方を考えるのにも役立ちます。

 

※ また、私は後半2年間は、熱心な職員のかたに政策的なレクをして頂くこともありました。「市側の論理に染まらないように」と思いながらでしたが、個別の紛争的な問題についてではなくもっと広い話で、職員の方々がどんなことを考えてどんな事業や計画をやるつもりなのか、ということは聞いておくべきだろうなあと一方で思っていました。ご厚意で応えてくださった一部の所管課の職員の皆様には本当に感謝しています。

まとめると、質問を作るのには「聞く、調べる、考える、なりかわる、孤独を極める(議員は行政の監視とチェック、馴れ合いではダメ)」、この流れでやっていました。

実際に議場や委員会の場で恥をかいたこと、住民のかたのご要望に応えることができずに悔し涙を流したこと、頭を下げに行って怒鳴りつけられたことなどなど色々とありましたが、やりがいという意味では本当にありがたい、かけがえのない経験をさせて頂けたと思っています。

最後に、都市計画関連でこの4年間に大切にしていた本もあわせて書いておきたいと思います。何度も読み返したり参照したりして使ったものです。思い出が詰まっているので、引退しても売ったりしないで手元に置いておきたいなあ。

 

 

◆E.ハワード(1898)長素連訳(1968)『明日の田園都市』鹿島出版会
古典の名著。議員になったばかりのころ、本屋さんで書名に惹かれて(!)購入して読んだのですが、過去の日本の都市計画にも大きく取り入れられてきた考え方について学ぶことができました。私のような農村出身の人間にとっては都市と農村の融合というか、理想郷の創出として映るものだったのですが、自由で平等な都市空間を創り出すための熱い思想が描き出されていて、都市計画に夢を感じることができました。

◆トマス・ジーバーツ(2006)『都市田園計画の展望 「間にある都市」の思想』学芸出版社
これも本屋さんで見つけて手にした本でしたが、著者のジーバーツがドイツの都市計画家ということで、ドイツ語圏に留学経験のある身として親近感がわき、参考にと思って読みました。が、実際は参考にどころか、これこそ八王子市の都市計画の考え方に近いんじゃないか!と驚き、何度も読み込んだ重要文献でした。現在八王子市が掲げている「拠点・沿道ネットワーク型の都市構造」という構想と共通する考え方がこの本にも詰まっており、僭越ながら都市計画部の職員のかたにおすすめしたところ、実際に読んでくださった職員のかたもおられました。都市計画のプロに本をおすすめするというのは非常に身の程知らずで反省すべきことなのかとも思うのですが、自分なりの「理想の八王子市の姿」のようなものを語れないとダメだ、と思っていたので、この本を自分にとってのアイディアの素として活用できたのはよかったのかなと思っています。

◆岩橋浩文(2010)『都市環境行政法論』法律文化社
これは実際の住民運動のご要望の解決の糸口はないかとあれこれ勉強をしているときに、著者の方の論文を発見して、そこからたどり着いた本です。元行政マンのかたが研究者として書いておられるもので、なぜ開発事業や都市計画をめぐって紛争が起こるのか、それらを解決するための方法論や法律の解釈にはどんなものがあるか、ということが紹介・提起されています。住民の権利を集合的にとらえる「地区集合利益」という考え方が非常にわかりやすく、一般質問等で何度か用いました。これもバイブルとして何度も読み込んだ本です。

◆小林敬一(2017)『都市計画変革論 ポスト都市化時代の始まり』鹿島出版会
新しい本です。都市計画に詳しいかたから著者の小林敬一さんの本を一度読んでみたらいいよとすすめられ、最新のものを読んでみようと思って手に取りました。都市計画マスタープランの見直すべき点などが概説されているほか、新たに始まった制度の解説や課題についても分析されており、議案として出てくる条例や計画に関する質問を考える際にかなり参考になりました。

◆法務省訟務局行政訟務第一課職員 編(1995)『判例概説 都市計画法』ぎょうせい
「都市計画法って難しくてわからない!」と頭を抱えていた時に購入しました。住民運動のご要望を受ける中で、「こんな民間開発を許可してしまったら市が訴えられるんじゃないのか」と思い、実際の訴訟はどうなっているのか知りたくてしばしば参照していました。都市計画法にも穴があるよなあと思うこともあれば、やっぱり住民の権利を守るよりも開発側の論理を支えるものでしかないじゃないかと思うケースもあり、非常に参考になる解説書でした。

◆大沼あゆみ・栗山浩一 編(2015)『生物多様性を保全する』岩波書店
これは川口土地区画整理事業に待ったをかけるべく、都市計画審議会での質疑の準備のために購入しました。事業のために行われた環境影響評価の問題点を明らかにするために、希少生物を保全するための基本的な考え方について学ぶことが出来ました。非常にわかりやすいです。

◆諸富徹(2003)『環境』岩波書店
これは、民間開発事業のもたらす環境破壊の問題を考えるためにあれこれと迷っていたときに本屋さんで見つけて購入しました。いつも対立している自民党の議員のかたからよく反論される、「環境保全というが、不便な地域を活性化することだって大事なんだ。そのためには開発が必要なんだ」という議論に対して、岐阜の農村部出身の私は「確かに、『自然はすばらしい、田舎って魅力的』というのは都会からやって来る人間だもんなあ。山や田畑の管理もしないでそれらを残せというのは身勝手とも言える、不便な土地で代々苦労している者の身になれという気持ちもわかる。しかしその問題の解決方法が開発なんだというのは違う」と思っていました。そしてこれからの時代は気候変動と人口減少の影響でますます「自然の価値」が変わる、自然との共生こそこれからの時代の最重要課題であるべきだ、と思っていたので、自然環境を持続可能な経済資本としてとらえる考え方にふれてみようと思い、読みました。
はっきり言うとこの本を私はなかなか消化しきれていませんが、重要な議論がなされている本だとは思うので、機会があれば自民党の皆さん(特に八王子市北西部地域にお住まいの方々)に読んでいただけたらいいのじゃないか、などと思ったりしました(引退前におすすめしてみようかな?!)。

◆齋藤純一(2000)『公共性』岩波書店
これは都市計画とは直接関係ないじゃないかと思われそうなのですが、そもそも「公共性ってなんだろう」という本質的な疑問を考えてみたくて購入しました。合意形成の場として、あるいは不合意が生まれる場としての「公共圏」であるとか、排除されてしまう市民の存在がなぜ生まれうるのかといったことを考えた気がします。個人的な興味(ハーバーマスとか)から読んだのですが、都市計画にも思想が必要じゃないか!と偉そうなことを思いながら、開発行為と私権の制限の問題について考えていました。個人的には都市計画部門を担当しておられる副市長にぜひおすすめしたいと相変わらず生意気なことを考えています。。

<その他・新聞、雑誌等>
◆日経コンストラクション

建設・土木業界の最新課題についての記事が刻々と更新されているのでよく参照していました。国の動向や新しい制度の問題点などもいちはやく解説記事が出ます。本誌のほうは専門的でかなり難しいので、論文検索をしてヒットした目当ての記事以外はほとんど、デジタル版を読んでいました。読み物としても非常に面白いです。

◆日刊建設工業新聞

建設業界の動向を調べることが出来るのと、コラムが意外と(!?)面白いので時々読んでいました。ネットで読めるので便利です。

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