あずさジャーナル
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梨と祖父の思い出

2018.09.19

20時少し前に帰宅したら、ちょうどチャイムが鳴った。宅配で九州に住む親戚から梨が届く。

このところずっと梨が食べたい梨が食べたいと言ってスーパーで1つずつ買っていたので、「どうしてわかったんだろう!」と驚く。
立派な豊水が6つ。福岡県朝倉市で有機農法・減農薬栽培をしている林農園の梨だそうである。
冷蔵庫で冷やして3時間我慢し、いま早速頂いた。糖度が高くて瑞々しい。かじると水分が滴り落ちる。おいしくてたまらず、2分の1個食べたがまだ食べたいくらい。

果物が大好きで、桃、葡萄、アメリカンチェリー、パイナップル、メロンが大好物である。
今年の春は体調を崩して寝込んでいた時期があったのだけれど、食事がとれずしんどいなか、桃がとても食べたかった。心配した家族が900円もする小さな早生桃を買ってきてくれたので、拝んで食べた。特別な美味しさだった。そこから少しずつ回復した。体調が良くなってからも、スーパーに桃が並ぶ時期が待ち遠しかった。

夏は好物の果物が食べ放題!の季節なのでとても幸せだ。今年はこれらに加えて、なぜか梨が食べたくてたまらない。暑さのせいだろうか。

29年前の9月に亡くなった祖父も、梨をよく食べていた。心臓病と脳梗塞に苦しめられ若くして亡くなった祖父は生前、幼い私になんでも分け与えてくれた。療養中に食べていた果物も、そばで欲しそうにしている私に与えてから、私の食べ残した分を口にしていた記憶がある。おじいちゃんの分をとったらいかんよと母に叱られた記憶もある。果物が大好きなのは恐らく祖父に似ているからだ。

厳格だが穏やかで優しかった祖父のことを思い出す。税理士をしていて、専門は酒税だった。家には大小様々な算盤があり、私が「ローラースケート!」と言って大きな算盤を踏んで滑ろうとしたら、「お金を踏んではいかん!」とものすごく叱られた。祖父が怒ったのを見たのはその時だけである。びっくりして、それ以来「算盤はお金」と大切に扱うようになった。

祖父の誕生日は私と1日違いの9月12日である。
祖父が最期に口にした食べ物は、病室のベッドの上で、前日に5歳になったばかりの私が差し出したスプーンにのった生クリームだった。
祖父の最後の誕生日ケーキ。いつも祖父から好きなものを奪ってばかりの私が、「一番好きなもの」を祖父にプレゼントしたのがお別れの一口になった。

幼い私はまだ「死」ということがわからず、残りのケーキは自分が食べてもいいのだろうか、いつ食べられるんだろうかということばかり考えていたのを覚えている。
祖父に何か言いたいことはないかと母たちに促され、(なんだか今なら、いつもはダメなことも聞いてもらえそう)と感じた狡い子の私は「犬を飼ってもいいか」と尋ねた。祖父は絞り出すような声だったがはっきりと「いかん」と返事をしたので、私はがっかりした。母と祖母は泣き笑いをしていた。「犬は吠えて近所迷惑になる」というのが祖父の考えだった。

花に花言葉があるように、果物にも言葉があるようだ。梨の言葉は「愛情」。

この梨もすぐになくなってしまいそうだけれど、噛み締めて大事に食べようと思う。

 

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