あずさジャーナル
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日高六郎先生のご冥福をお祈り致します/過去から現在へのつながり

2018.06.07

エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』を翻訳された日高六郎先生が逝去されました。
心よりご冥福をお祈り致します。

ちょうど現在、『自由からの逃走』の“続編”とされる『人間における自由』(谷口隆之介・早坂泰次郎 訳)を読み直しているところでした。
また奇しくも昨夜は、映画“Der Untergang”を大学時代以来およそ13年振りに、初めて日本語字幕で見直したところでもありました。この映画はドイツ語学科の永田ザビーネ先生のクラスで原語で見ました。当時のドイツ語の力では到底、独力で理解などできない状況でしたが、随時先生の解説があり、その後の課題レポート等で深い議論を育むことができたと記憶しています。

ザビーネ先生には、留学からの帰国後、社会学科に転部した私を変わらずゼミに受け入れて頂いたご恩もあります。「人間の攻撃性」を題材とした社会学科での私の卒論に関心を寄せて下さるなど、日本の大学にありがちな狭い「領域性」を飛び越えて、親身にご指導を賜りました。

今思えば、もっとあの頃にフロムが行なったナチズム研究についても、先生のお考えを伺っておくことができたのに、と無念です。もしかすると単に私自身の知識と理解力が乏しかっただけで、先生は当時すでに多くの示唆を与えてくださっていたのではないかという不安すらわいてきます。すでに退官されましたが、もし叶うのならば、もう一度ザビーネ先生にご指導を受けるチャンスがあれば良いのにと思うほどです。

当時はなんと恵まれた環境で勉強をさせてもらえていたのかと痛感するとともに、フロム研究、フランクフルト学派研究の重要さを痛感する夜でもありました。

そして、そのような私自身の学問への「方向性」を決定づけたのが、『自由からの逃走』との出会いでした。
日高六郎先生のご功績は、私のような者が言及することすらおこがましいのですが、日高先生の翻訳があって、『自由からの逃走』に巡り会えた幸運を思わずにはいられません。

同時に、大学に籍があったときに、学びと学びの点を線でつないでいく発想がもっと自分にあったならばと思う気持ちにも襲われます。

時間は刻々と過ぎゆき、学びを与えてくださったかたは大学から去り、更には、学問の世界への扉を開いて下さった素晴らしい方々がこの世を去って行かれます。
心の支えにしているものがひとつ、またひとつと遠くへ行ってしまうようで、寂しさとともに強い焦燥感を覚えます。

日高先生ご逝去の報にふれ、過去の思いを再確認し、いまの自分にできることを考え、今後の行動を考えて行かねばと思いました。
生きとし生けるものを愛し、命を大切にする人間のエネルギーの方向について、この4年間の“実践”のなかから、安直なイデオロギーに屈することのない「理念」を探し出したいと思う日々です。

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