あずさジャーナル
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マンスプレイニング

2016.11.04

「マンスプレイニング」。

この2年間ほどのあいだ、ずっとこころに澱のように溜まって苦しかった現象に、名前を与えることが出来ました。

皆さんはこの言葉、ご存知ですか?
心あたりは、ありますか?
仕事をしていて「苦しいな、どうしたらいいかな」と思っている女性に是非、読んでほしいです。

そして男性にも、読んでほしい、と思います。
特に「自分は女性に優しいほうだな」と思っている男性こそ、読んでほしい。

先日、仲の良い女性と話をしていて、仕事に関する悩みを打ち明けていたときのことです。

「それって、“マンスプレイニング”じゃないかな?」

聞き覚えのない言葉でした。

男性が女性に「君は知らないだろうから、僕が教えてあげるよ」と、「女性側が無知である」ことを前提にして、お説教、お節介を始めることを指すそうです。

そして酷い場合、「君はわかっていない」「君は苦労を知らない」と言って、その女性に執着し「僕はすごいだろう」と自分の存在を承認させようとすることです。

私はこの2年間ほどのあいだ、多くの男性から「応援している(から僕の言うことを聞きなさい)」「応援している(けれど僕の相手をしていないから、けしからん)」というような、言葉や態度によるプレッシャーを受けてきました。

「応援している」。
この言葉は、何よりもありがたく、幸せな言葉です。

「この人はいい人なのだ、自分のためを思ってくれているのだ、新人で無知な自分はしっかり勉強しなければ」と思います。励まされる言葉です。「応援している」と言われれば、私は嬉しくてたまらなくなります。

けれどなかには、この言葉をかけてくれるのに、だんだんとこちらが「あれ?」と違和感を覚えるような男性たちがいるのでした。

「応援しています(から、僕のすすめた本を読みなさい、感想を知らせなさい)」「応援しています(から、僕の電話には深夜でも出なさい/メールにすぐに返信しなさい)」「応援しています(から、僕が誘ったら、2人きりでも飲みに来なさい…!)」

いわゆる誹謗中傷であれば、「ひどい!」と怒って放っておくことができます。けれど、「応援している」「頑張ってほしい」という言葉が目に飛び込んでくると、「お返事をしなければ!」と思うのが常です。

もちろん、会ったことなどなくとも、真にこころの温かい人というのは沢山、たくさんいます。そうした人の励ましのメッセージは宝物です。

会ったことなどなくても、八王子のかたから「相談があります」と連絡が来れば、もちろんすぐにお返事をします(これは仕事ですから、当然ですね)。

けれど。
けれど、残念ながら「本当に応援、してくれているのかな」「本当に相談があるのかな」と不安や恐怖をおぼえる人というのも、存在します。

私の場合は、その多くがSNSのやりとりや、メールによって起こるので、「ネット・ハラスメント」と密かに呼んでいました。
直接に顔を合わせたことのある人から、こうしたことをされるのは、実は少ないのです。ないとは言えませんが……。

会ったことのない人、ネット上でしかつながりのない人、「誰だろう?」と思うような人から突然メールやメッセージが届いて、始まるのです。
仕事の話かと思うと、そうでないことが殆どです。

そうしたことが起きるたび、私のこころはどんよりと重くなっていくのでした。

今は24時間いつでもどこでも誰かと「つながっている」状況ですから、夜眠る前であっても朝起きてすぐであっても、「知らない男性」「会ったことのない男性」「ほとんど知らない男性」から、私的なメッセージが届きます。

何だか、私生活の中に見知らぬ男性たちが踏み込んできているような感覚になり、「もうSNSやスマートフォンを使うのは止めたいなあ」と感じてしまうことがしばしばでした。

お返事をせずにいると、「なぜ返事をくれないのか」と連絡の頻度が多くなったり、「もういい」と怒ってしまう人もいます。お返事をすると、特段の用事がないにもかかわらず「文通」のようにずっと連絡が続きます。

こちらがもし反論や口答えをしようものなら、相手の男性は不機嫌になり「もう応援しない!」「期待はずれでダメな人だった」ということを誰かに言いふらされてしまったり、SNS上に書き立てられてしまう危険があるのでした。

そうしたことに日々びくびくし、外見や服装に関して嫌だなと感じることを言われたり、頻繁に私的なメールが届くようになっても、ずっと我慢をしていました。

「つらい」と思ってしまうこと自体が、私の狭量さ、忍耐力のなさなのだ、と感じました。
「この男性たちはせっかく連絡を下さるのに、自分は返信できないなんて」と罪悪感で押しつぶされそうにもなっていました。

でも、これって何だか、おかしいな。
もしも私が男性だったら、こうしたことをされるのだろうか?

もしも私がもっと年齢を重ねていたら、キャリアがあったら、「男まさり」な髪型や服装、そうした外見にしていたら……考えるほどに、「まだ若い女性だから」、つきつめては、「女性だから」なのではないか、と思えてなりませんでした。

他の女性議員や、いわゆる「男社会」で仕事をしている女性はどうだろう?同じような悩みを抱えているのではないか?と思いを巡らせました。

この現象を何とかして誰かに伝えたい、同じことに苦しんでいる女性はいないか……とずっと考えていました。

そして、前述の彼女(彼女は法曹界でバリバリと働いている人ですが)にこの悩みを打ち明けたところ、「よくわかる。それはマンスプレイニングだと思う」と教えてくれたのでした。

「ヨーロッパやアメリカでは概念として確立されつつあって、女性が男性に『あら、これはマンスプレイニングですね!』と告げると、無意識だった(無自覚だった、とも言える)男性側も、『なるほど、ごめんなさい』と気付くみたい」。

理知的な瞳をきらきらとさせながら、彼女はまず私の悩みに「名前」と「定義」を与えてくれました。

そして、「真剣に物事を教えようとする人は、そんな形で関わってはこないはずだ」として、私の「罪悪感」を打ち消してくれたのでした。

私はとても未熟な人間ですが、本当に困っていて連絡を下さる男性や、本当に私のことを心配して連絡を下さる男性のことは、わかるつもりでいます。

そうではなさそうだな、と思った時、どうしたらよいのか。いつも悩んでいます。
これはよくない関わり方だ、と感じたら、ネット上でのつながりを断ち、「お別れ」をすることもあります。

最近はだいぶ、割り切って過ごせるようにもなりましたが、それでもやはり、罪悪感や苦しさは続いています。

「君のためだから」。
「君を応援しているから」。

その言葉、「僕のため」「僕を認めてほしい」に、なっていませんか?

もしかしたら女性にも、あることかもしれません。
「私のため」「私を認めてほしい」に、なってはいないか。
自分自身も気をつけなければと思います。

最後に自戒を込めて、綴りました。

多くの女性、そして男性たち自身も、この「呪縛」から救われることを願っています。

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